2009年3月22日日曜日

世界経済の恐慌と保護主義と株価

 金融危機が進展して、世界恐慌になるのかどうか。
 たいしたことはないというのが大方の意見だろうが、私は甘いと思う。もし恐慌に陥らなくても、回復にはエコノミストの言うよりも時間がかかる。
 1929年との違いは、貿易が自由であることだ。金融も世界的になっているし、情報も早く正確だ。さらに、開かれている。80年前の大恐慌では、各国が自国を守るべくブロック経済を実施した。さらに、保護主義貿易を使った。簡単に言えば、それがやがて第2次世界大戦を導いた。今、私が怖いのは、それから80年、第2次世界大戦後、世界同時不況は初めてだということだ。
 ロシアでは中古車輸入制限をし、自動車輸入の関税を引き上げているのだろう。インドは鉄鋼の関税を引き上げた。各国が政治的に短期の自国のみを考えて保護主義を導入する雰囲気になることを極力避けるべきだ。自国通貨の切り下げ、関税の引き上げなどはすぐにでもやりかねない。一時は良さそうに見える。日本なども政局だからどうしても関税を引き上げないと雇用が守れない。政権が取れない。政治家を選ぶ民の民度を上げることが必要だ。

今回の危機は、米国の金融派生商品が招いた。その米国のオバマ大統領はどのような方向に進むのか。

 1929年10月24日、ニューヨーク株式市場で株大暴落が始まった。暴落は続き、11月にはダウ平均224ドルにまで下落。3か月間で半値になった。ここまで下がれば底値だろうと思われた。ところが、株価はその後も下がり続け、3年後の1932年7月が底値となった。株価は58ドル。大底といわれた頃の株価の1/4。
 今、ニューヨークダウは、高値から半値になった。そして下げ止まって最近では上がっている。私はきっとこのまま収束するとは思えない。公的資金投入は、必ず行き詰まる。財政赤字がかなり悪化する。ドル暴落は危険だ。ドルが世界金融の基軸通貨だから、悲惨な経済状態の米国が何とか保っている。今の世界経済は、米国が不安になれば、世界が不安になる。

 私は、アメリカの自動車産業ビッグ3が生き残らない方が米国のためだと思う。自動車労連や退職者のためには生き残った方がよいだろうが、国全体、世界経済を考えれば。すくなくともGMはつぶすべきだ。従業員や退職者とその家族のために、公的資金をいくらつぎ込んでも、立ち直らない。

 3月22日の新聞では、米下院に、米国で生産された低燃費車への買い替えを促す助成制度を導入する法案が提出された。8年以上になる古い車を低燃費車に買い替える場合、最大7500ドル(約72万円)を助成する。米自動車大手3社を販売面で支援する狙いがある。輸入車は対象外で、日本の自動車メーカーからは「明らかな保護主義」と反発する声も出ている。法案はオハイオ州のベティ・サットン下院議員(民主)が、17日に提出した。ペロシ米下院議長は、法案に賛同する姿勢だ。09年~10年は、燃料1ガロンあたり24~30マイル(1リットルあたり10・1~12・6キロ・メートル)走る米国車を購入する場合は4000~5000ドルを助成する。このうち、カナダ、メキシコで生産された車は1000ドル減額する。11年型以降は米国で生産された電気自動車とプラグイン・ハイブリッド車に限り、7500ドルを助成する。日本のメーカーなどが現地生産した車は助成されるが、日本から輸入するハイブリッド車などは対象外となる。

 こうした保護主義的な法案は、次々と出てくるだろう。各国でその要求が政治家に押しつけられる。
 世界にとって非常に危険だ。

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